蜜月溺愛心中
清貴に手を引かれ、椿は美容室を後にした。車に乗り込むとすぐ清貴はエンジンをかけ、車は大都会の道を走っていく。

その後、服屋では一着ずつワンピースやブラウスやスカートなどを試着して清貴が買い、化粧品や下着なども新しいものを揃えてもらった。可愛らしい服や化粧品に椿は清貴に頭を下げる。一体今日、彼は自分のためにいくら支払ったのか。そのことが頭の中をぐるぐると回っていた。

「清貴さん、申し訳ありません。こんなにたくさん買っていただいて……。私、お給料が出たらお金をお返ししますーーー」

まだ話の途中だったのだが、椿の口に清貴の指が触れた。突然のことに驚いて椿は言葉を失ってしまう。そんな中、清貴は少し寂しそうな顔で言った。

「お金は返さなくていい。それはこんな俺と結婚してくれた君へのプレゼントだ。気にする必要はない。服も、化粧品も、今日買ったものは全て椿に必要なものだ。謝罪の言葉は聞きたくない」

「……あ、ありがとうございます」

椿がそう言うと、清貴は満足げに笑って歩き出す。椿は慌てて彼を追いかけた。服屋で買ってもらった時から着ている白いワンピースが、風でふわりと揺れる。

(髪を切って、可愛い服を着て、メイクもしてもらった今なら、清貴さんの隣に並んでいても許されるかな?)
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