蜜月溺愛心中
しかし、離れてしまった手はまたすぐに触れ合う。清貴が椿の手を包んだためだ。

「離す必要はない。椿がしたいと思ってくれたんだろう?」

そう言った清貴は、繋がれた椿の手に唇を落とす。まるで恋愛ドラマのワンシーンのようで、椿の頰に熱が集中した。

「き、清貴さん……!」

「こらこら。そういうことは人前でするんじゃありません」

百合枝が注意をし、清貴はすぐに「すみません」と謝る。しかし手は繋いだままだ。

「おばあ様。結婚式は、椿と話し合っておばあ様が元気になったら挙げようと話しています。なので早く元気になって、僕たちの晴れ姿を見てくださいね」

「ええ。しっかり治して、二人の晴れ姿をこの目で見届けるのが今の私の希望ですからね。二人をきちんと祝福させてちょうだい」

百合枝は幸せそうに微笑む。その笑みを見て、椿は胸に痛みを感じてしまった。百合枝は今、椿と清貴の結婚式に出席することを希望に生きようとしている。しかし、その結婚式が開かれることは永遠にない。
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