蜜月溺愛心中

「本当に、出掛けるのですね……」

椿の顔に笑みが浮かぶ。瞳が夜空に浮かぶ星のように煌めき、思わず泣いてしまいそうになるほど、椿の胸の中は幸せで溢れていた。そんな彼女の表情を見て、清貴は頰を赤く染めた。



食器を片付け、身支度を整えた後、椿は清貴と共にマンションを出る。空の頂上を目指してゆっくりと登っていく太陽の光はどこか眩しい。

「いいお出掛け日和ですね」

「ああ。素敵な一日になりそうだな」

青空を見上げている椿を清貴は微笑みながら見つめ、手を差し出す。椿はゆっくりと自身の手を清貴の手に重ねた。指が絡められ、椿の胸が高鳴る。

車に乗り、清貴の運転で向かったのは都内で一番大きな水族館だ。日曜日ということもあり、家族連れやカップルで賑わっている。

「わぁ……！」

初めて訪れた水族館に、椿は目を輝かせ辺りを見回す。まだ水族館の中には入っていないのだが、水族館の周りには様々な植物が植えられており、海亀やタツノオトシゴなどのオブジェが置かれていた。その前で多くの人が足を止め、写真を撮っている。

「俺たちもせっかくだから撮ろう」

清貴にそう言われ、椿は「はい」と頷いてオブジェにスマホのカメラを向ける。すると「違うよ」と声が降り、スマホを奪われてしまった。