蜜月溺愛心中
「何を言ってるんだ。二人で撮らなきゃ意味がないだろ。……大切な思い出なんだから」

そう言い、清貴の大きな手が椿の頰に触れる。まるでガラス細工に触れるかのように優しい手つきだった。椿の頰が赤く染まっていくと、目の前にいる清貴の頰も赤くなっていく。

時間が止まってしまったかのように、周りの騒がしいくらいの声や音が聞こえなくなり、この世界で息をし、動いているのはまるで二人だけかのような錯覚を覚えてしまう。

清貴の顔が近付いてくる。椿の心拍数が上がり、緊張と不安が込み上げる。しかしそれと同時に、清貴がこれからしようとしていることを自分もしてみたいという気持ちが何故か心の片隅にはあった。

「清貴さん……」

頭の中が、触れられている頰が、ただ熱い。これからさらにその体温は上がっていくのだろうと思い、椿は恋愛ドラマの主人公のように目を閉じる。その時だった。

「あれ?清貴?」

その声が、二人を現実へと一瞬にして引き戻した。二人は慌てて閉じていた目を開き、慌てて離れる。自分は何をしようとしていたのか、と椿は恥ずかしくなっていく。

「清貴さん、すみません!」

「いや、俺の方こそすまない!」

お互いに謝っていると、「何々?彼女?」とまた声をかけられた。椿が顔を上げると、そこには六人の男女がいる。男性が三人、女性が三人だ。
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