蜜月溺愛心中
(あれ?この人たちって……)

男性三人の顔には見覚えがあり、椿はすぐに思い出す。椿が倒れてしまったあの日、清貴と共に焼肉屋に来ていた人たちである。隣にいる清貴をチラリと見れば、彼は「なんでお前たちがここに……」と呟きながら頭を抱えている。

「清貴さん。あの、こちらの方々はお知り合いですか?」

椿が訊ねると、「俺たち、清貴の高校の時の同級生なんだよ」と清貴ではなく男性の一人が答える。ツーブロックショートの髪をブラウンに染め、Tシャツとスキニーパンツを履いており、椿と目が合うとニコリと人懐っこい笑みを浮かべた。

「高校の時の同級生だ。部活もみんな同じテニス部に所属していた同じだった」

「私たち女子はテニス部マネージャーだったんだよ。懐かしいね」

清貴が説明すると、ショートボブの髪に黄色のワンピースを着た女性が目を細め、微笑みながら言った。清貴は息を吐き、一人ずつ紹介していく。

「そこのツーブロックショートの奴が神宮寺翔太(じんぐうじしょうた)、ショートボブの奴が有栖菜月(ありすなつき)だ」

「よろしく!」

「よろしくお願いします!」
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