蜜月溺愛心中
翔太と菜月が笑顔で言い、椿も「よ、よろしくお願いします」と緊張を覚えながら頭を下げる。清貴は残りの人も軽く紹介していった。

長めの髪を一つに束ね、派手なシャツを着こなしている男性は桃李仁(とうりじん)。金髪のウルフカットにサマージャケットを着こなしている男性は東雲新(しののめあらた)。ローポニーテールにロゴTシャツとカーキ色のベイカーパンツを履いた女性は七瀬蘭(ななせらん)。胸元が大きく開いたトップスとミニ丈のスカートを履いた女性は早乙女姫乃(さおとめひめの)。

仁、新、蘭は「よろしく」と友好的に挨拶をしてくれたものの、姫乃だけは椿を値踏みするかのようにジロジロと見つめ、フンと鼻を鳴らす。その様子を見て、椿の脳裏には梓が浮かんでしまった。

「それで?清貴、こちらの女性は誰なんだい?」

仁が興味津々と言いたげな目を椿に向ける。清貴は息を吐いた後、椿の肩を抱き寄せた。

「彼女は椿。俺の妻だ。以上」

「えっ!?妻!?」

全員が驚いた声を上げた。どうやら清貴は家族以外には結婚をしたことを話していなかったようだ。椿は慌てて頭を下げる。
< 53 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop