蜜月溺愛心中
そして、椿が高校受験をする際、両親からは「ここに行くように」と最初から進路を決められていた。偏差値がそれほど高いわけでも低いわけでもない公立高校である。その理由は、「従姉妹がその高校の卒業生で、制服やジャージのお古を貰えるから」だった。梓は進路に関して何も言われず、偏差値の低い私立高校で三年間を過ごした。
大学は「梓が行くから」という理由で通うことが許されず、椿は高校を卒業してからずっと働いている。しかし、働いて得た給料は「今まで育ててきてやったんだから」と全て奪われてしまう。
(いつまで私、こんな生活なんだろう……)
ぼんやりとする頭で椿はふと思う。顔を挙げると、両親と妹はソファに座って朝の情報番組を見ていた。映し出された新しくできたレストランに「行きたい!」と梓が言い、それに対し智也と由起子は「いいね。行こうか」と楽しげに話す。
(まるで、私だけが家族じゃないみたい……)
椿はただ「血が繋がっているだけ」であり、家族として扱われていない。そんなことは昔からわかっているつもりだった。しかし、心にできた深い傷は癒えることなく痛みを思い出させていく。
「椿、もうすぐ給料日でしょ?今月もお金ちゃんと持って来なさいよ」
大学は「梓が行くから」という理由で通うことが許されず、椿は高校を卒業してからずっと働いている。しかし、働いて得た給料は「今まで育ててきてやったんだから」と全て奪われてしまう。
(いつまで私、こんな生活なんだろう……)
ぼんやりとする頭で椿はふと思う。顔を挙げると、両親と妹はソファに座って朝の情報番組を見ていた。映し出された新しくできたレストランに「行きたい!」と梓が言い、それに対し智也と由起子は「いいね。行こうか」と楽しげに話す。
(まるで、私だけが家族じゃないみたい……)
椿はただ「血が繋がっているだけ」であり、家族として扱われていない。そんなことは昔からわかっているつもりだった。しかし、心にできた深い傷は癒えることなく痛みを思い出させていく。
「椿、もうすぐ給料日でしょ?今月もお金ちゃんと持って来なさいよ」