蜜月溺愛心中
誓う
「それじゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
椿は笑顔で清貴を見送る。清貴も笑顔で出勤していった。マンションの扉が閉まると同時に、椿はゆっくりと息を吐く。
新婚旅行から早数日、椿と清貴の関係は新婚旅行前と大きく変わっていない。キスをされた翌日、椿は緊張を覚えながら目を覚ましたのだが、彼は普段と変わらない態度だった。酔っていた時の記憶がないのだろう。
「ちょっと辛いな……」
椿はポツリと呟く。清貴の中では、あの夜のキスは無かったことになっている。自分だけが覚えており、心に抱えてしまった想い苦しんでいるのだ。
気持ちを誤魔化すため、掃除機をかけたり、シンクやお風呂場の掃除をしたりする。しかし、清貴に繋がるものを見つけてしまうと、一瞬にして思考は清貴のことだけになってしまい、あまり効果はない。
「あっ、そろそろ私も行かなくちゃ!」
午前十時半、椿の出勤時間が迫ってきた。仕事用のトートバッグを肩にかけ、すっかり住み慣れたマンションの扉を開ける。扉を開けると風が髪を撫で、どこか火照った頰を冷やしていく。
「行ってらっしゃいませ」
椿は笑顔で清貴を見送る。清貴も笑顔で出勤していった。マンションの扉が閉まると同時に、椿はゆっくりと息を吐く。
新婚旅行から早数日、椿と清貴の関係は新婚旅行前と大きく変わっていない。キスをされた翌日、椿は緊張を覚えながら目を覚ましたのだが、彼は普段と変わらない態度だった。酔っていた時の記憶がないのだろう。
「ちょっと辛いな……」
椿はポツリと呟く。清貴の中では、あの夜のキスは無かったことになっている。自分だけが覚えており、心に抱えてしまった想い苦しんでいるのだ。
気持ちを誤魔化すため、掃除機をかけたり、シンクやお風呂場の掃除をしたりする。しかし、清貴に繋がるものを見つけてしまうと、一瞬にして思考は清貴のことだけになってしまい、あまり効果はない。
「あっ、そろそろ私も行かなくちゃ!」
午前十時半、椿の出勤時間が迫ってきた。仕事用のトートバッグを肩にかけ、すっかり住み慣れたマンションの扉を開ける。扉を開けると風が髪を撫で、どこか火照った頰を冷やしていく。