クズなアイツが惚れたなら、
「夜市くんは兄弟とかいるの?」
「いや、俺はひとりっ子」
「わ、やっぱり? そんなかんじする」
「なんでだよ」
「ふふ。夜市くんって基本ひとりで過ごしてそうだから。…あ、でも直江くんとは結構一緒にいるね」
「あいつは連絡もなしに家に来るような暇人だからな」
小さい頃からそうだった。
両親のイチャつきぶりに笑って輪に入るような無邪気さはなく。
見るに耐えかねて呆れた顔を向ける、無愛想なませガキ。
近寄りがたい雰囲気を放っていた俺に、直江は当時から面白がるように絡んでくる、そういうやつだった。
相槌を打つ梅野が時々くすっと笑って、いろんなリアクションをする表情を見ながら、ようやく気づく。
……くだらない話をしすぎている。
べつにそこまで聞かれてないのに、梅野が相手だと、口元が少しずつ解かれていく。