クズなアイツが惚れたなら、
馴染みのない感覚



*

*



起床とともに欠伸が出た。

きーんと鈍痛が走り、思わず頭を押さえる。


……最悪な目覚めだ。


そもそも眠りは浅かったし、ちゃんとした睡眠がとれたかも怪しい。

空気のこもった部屋に重苦しさを感じて、のっそりと起き上がりドアを開けた。





「おはよう、氷ちゃん。今日は随分と起きるの遅いけど、もしかして寝れなかったの?」

「なんだ、氷牙、くまができてるぞ。ほんとに寝れなかったのか?」



俺の気配に気づいた母さんが、洗い物をしながら振り向く。
ほぼ同じタイミングで、ベランダで花に水をやっていた父さんもリビングに入ってきて不思議そうにそう言った。




「あーまぁ、ちょっと……」

「心配事でも?」

「いや、」



心配というより、疑問?
それも自分への。

なんであんなことをしたのかって、そういう疑問。

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