クズなアイツが惚れたなら、
「飴は◯個食べると死に至る」
「飴好きとしては知っておきたいでしょ?
(…そんなに食うな)」
「金持ちでも泥棒になれますか」
「億万長者だった、まさしく。憧れるよね
(…知るか)」
「おまえは結局生きている」
「いやー、額を銃で撃ち抜かれてさすがに死んだと思ってたら、最後ゾンビとして生き返ったんだよね主人公。びっくりした(…それは死んでるだろ)」
だんだん面白くなってきて何冊か題名を読み上げれば、ひとつずつ簡潔に説明してくれる梅野。
改めて、こいつの趣味はどうなってんだと思う一方で、でもこれが梅野だなという謎の安心感に行き着く。
閉められたカーテンの隙間を覗けば、すっかり外は夜になっていた。
「なあ」
「うん?」
「今日、泊まってい?」
「……え!?」
なんの一貫性もなく、気づけばそんな言葉が口から放り出ていた。