クズなアイツが惚れたなら、

「飴は◯個食べると死に至る」

「飴好きとしては知っておきたいでしょ?
(…そんなに食うな)」


「金持ちでも泥棒になれますか」

「億万長者だった、まさしく。憧れるよね
(…知るか)」


「おまえは結局生きている」

「いやー、額を銃で撃ち抜かれてさすがに死んだと思ってたら、最後ゾンビとして生き返ったんだよね主人公。びっくりした(…それは死んでるだろ)」




だんだん面白くなってきて何冊か題名を読み上げれば、ひとつずつ簡潔に説明してくれる梅野。

改めて、こいつの趣味はどうなってんだと思う一方で、でもこれが梅野だなという謎の安心感に行き着く。




閉められたカーテンの隙間を覗けば、すっかり外は夜になっていた。




「なあ」

「うん?」

「今日、泊まってい?」

「……え!?」




なんの一貫性もなく、気づけばそんな言葉が口から放り出ていた。

< 162 / 250 >

この作品をシェア

pagetop