クズなアイツが惚れたなら、
……俺は子供か。
ガキのように扱われることに納得がいかず不満を燻らせるも、そばでにこりと梅野が笑うから、寄せた眉はすぐに解かれてしまう。
「夜市くん、なんか食べる?」
「いや、もう眠い」
「わたしも」
お互い、少し非日常的な出来事に遭遇したからか、どっぷり疲れが溜まっていた。
そろそろ寝ようということになり立ち上がるも、問題は場所だった。
部屋は1Kのため当然一室しかなく、普段梅野が寝てるであろうベッドもそこに置かれている。
羽毛布団も一枚しかないらしい。
「…夜市くん、ソファーで寝れる?」
「やだな、いてーし」
「じゃあ、わたしがソファーで」
「却下」
「ええ…」
なんで夜市くんが決めるの、と小声が聞こえてくる。
梅野の家なのに、俺がベッド占領するのは気が引けるだろ。
それに場所を分けても、どのみち布団はひとつしかない。あとは薄いタオルケットみたいなのがふたつだけだしな…。