クズなアイツが惚れたなら、


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最初に異変を察知したのは鼻だった。

続いて、耳にガッシャンとなにかを落としたような音がする。

焦げ臭さが鼻腔を抜けて眉がぴくっと動いた。
睫毛がゆったりと上を向く。



「……なんだ?」


隣を見ると、梅野がいなかった。

だとすれば、この匂いとドタバタ音は高確率であいつの仕業だ。



梅野、なにしてんだ…?



カーテンから漏れ出る光が朝を告げ、電線の上では雀たちが元気に戯れている。その様子に目を細めながら、起き上がって身体を軽く伸ばしたあと、ドアをスライドして部屋を出る。




「っ、お、おはよ、夜市くん」



キッチンで蹲っている梅野が振り返り、ははは…とばつが悪そうに笑った。




「ごめん、朝ごはん作ろうと思ったんだけど、失敗して…」

「……頼んでねーけど?」

「そうだけど、お客さんだし…」



どんどん縮こまっていく梅野。

周りを見渡せば、料理に慣れてないことは明らかだった。
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