クズなアイツが惚れたなら、
梅野をよく見るようになってから知ったこと。
どの教科もトップとまではいかないが、平均以上の成績を保っていて。授業中は寝ることなく、誰もが猫背になるなかで、梅野だけは真っ直ぐに伸びた背中で黒板を見つめている。
あの小さな身体で運動も他の女子に負けず劣らずな姿は、体育の時間で男の目線を惹きつけていたりした。
「学校だと、梅野は割と完璧人間に見える」
「そうなんだ、知らなかった」
「まぁ、観察してれば、意外と…」
「………意外と?」
可愛く思う時がある、なんてことは繋げずに喉の奥に引っ込む。
黙ってしまった俺を梅野が下から見上げてきた。
「意外と、なに?」
「なんでもねーよ、それより早く食べるぞ」
「えー、話してる途中だったのに」
皿を机に運び、絨毯の上に座る。
続いて梅野が醤油とご飯と漬け物を持ってきて、簡単に朝ごはんが並んだ。
食べれるかな、と自分が焦がした目玉焼きを不安そうにつつく梅野。
「食えるだろ。ていうか目玉焼きでこうなるって、普段はなに食ってんだよ」
「…………299円のコンビニミニ弁当を頂いております」
「ふ、お得だな」
「でしょ? 笑わないでよー」