クズなアイツが惚れたなら、
そのままだらだらと過ごしてしまった午前。
昼食を食べ終えた頃には、やっと身体が軽くなってきた。
「氷ちゃん、今日お母さん午後から仕事なんだけど、その前に氷ちゃん助けてくれた子にお礼言って、ちょっと高めの洋菓子買ったから届けようかと思ってるの」
「……まだ諦めてなかったのかよ」
「当たり前でしょう、泊まってきたんだから家は知ってるはずよね。はい、教えなさい」
てきぱきと皿洗いをしながら問い詰めてくる母さん。
ぐび、と烏龍茶を飲み干す。
これ以上誤魔化すのは限界だと感じる一方で、ある考えが浮かぶ。
「それ、俺が届ける」
「え、氷ちゃんが?」
「ん、礼言うにしても、本人が言った方がいいだろ」
「まあ、確かに。でも、今日持っていけるの?」
「行ける」
強く頷くと、それなら…と母さんが渋々承諾した。
よし、ちょうどいい。
突然行ったら困らせてしまうかもしれないが、梅野の顔は見たいわけで。
終業式の日は一言も喋れなかったしな。
会ったら聞いてみたい。
俺のこと、どう思ってるかって。