クズなアイツが惚れたなら、



*

*



変だ、やっぱり様子がおかしい……。

連日のハードな部活で溜まっている背中の疲れを伸ばしながら、テーブルで頬杖をついている友達──夜市氷牙をチラリと覗く。


全体的にだらんとしすぎてる。

元々こいつはだらけたやつだけど、どう話しかけても「あぁ」「ん」とか、ここまで無気力ではなかったはずで。



……んー、どうすっかね…。


原因はほぼ見当がついてるものの、解決策に悩んでいた。




そもそも最初に異変を捉えたのは冬休み後半のこと。

氷牙の家に遊びに行くと、明るく出迎えてくれたのは氷牙のお母さんとお父さんで。肝心の当人はベッドで抜け殻状態に。

ちょうど土日で両親がいたからよかったけど、氷牙だけだったらインターホンにすら気づかなかったんじゃないか……?




「氷牙」

「…ん」

「学食来たのに食べねーの?」

「あぁ」

「ダイエットでもしてんのかよ、ちゃんと食べないとミイラになるよ」

「そうだな」




だめだ、こりゃ。
さっきから5文字以内の返しばっか。

突然のミイラ発言を肯定する時点でもうこれ、上の空だろ、絶対。


< 194 / 250 >

この作品をシェア

pagetop