クズなアイツが惚れたなら、
結局、俺だけ昼食を食べ終えて放課後になると、ここ最近バスケ部に来ていなかった布瀬が久しぶりに顔を出していた。
「よー、布瀬、やっと来たな」
「直江…」
「なんだよ、おまえまで暗い顔して」
布瀬の目尻が垂れる。
元気のないその笑顔にさすがに心配になった。
部活だけじゃなく、学校に来ない日も最近は増えたようで。同じクラスの俺は、なんかあったんじゃないか、くらいには違和感を覚えている。
「悩みあんなら聞くよ?」
「…悩み、か……」
「おん、どうした?」
「………手放し方が、わからない」
てばなしかた……?
いきなりムズい単語が出てきて頭をひねる。
ぽかんと呆けた顔でもしてたんだろう。
「いーよ、なんでもない」と笑った布瀬が顧問に呼ばれて走っていった。
俺のばか思考。
こんな頭の出来じゃ、相談乗れないか…。