クズなアイツが惚れたなら、



「休憩ーー!」



一試合終えた頃、水を飲みに裏庭に回れば、もぞもぞと木が揺れていて。



「あれ、」



こっちを気にするように顔を出していたのは、まさかのゆいちゃん。



「なにしてんの、こんなとこで」



俺に見つかったゆいちゃんの肩がびくんと跳ねる。

駆け寄ると、なぜか申し訳なさそうに会釈されて首を傾げた。




「部活中、だよね?」

「うん、でもいま休憩」

「あ、そうなんだ」

「布瀬いるよ、呼ぼうか?」

「え? いや……ううん、大丈夫」




呼ぶのはいいようで、首を横に振るゆいちゃん。

ゆいちゃんとバスケ部の接点なんて、それしか思い浮かばなくて、てっきりそうかと。

布瀬に用あるんじゃないのか。




「布瀬くん、元気そう?」

「んー、あんまり」

「そっか…。…………夜市くんは?」

「え」

「え」

「氷牙?」

「う、ん」




ぎこちない首の動き、表情。

あー、とこれは合点がいった。

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