クズなアイツが惚れたなら、



「……、え…?」

「想像もしてなかったって顔だね」

「っ、だって、」

「友達、だから?」




……そう、だよ? 周りから噂されることはあったけど、わたしと布瀬くんは、ずっと友達で……。

頭で事態を追いかける前に、布瀬くんの表情が否定を示す。




「俺はずっと、ゆいが好きだったからそばにいた」




嘘だなんて言えないくらい真っ直ぐで優しいその目は、ゆっくりと、わたしに悲しげに微笑んだ。



喉の奥が震える。

どう、答えたらいいのか、わからない。




「……今日も母さんの知らせを聞いたとき、真っ先にゆいが浮かんだ。駆けつけて、ゆいを抱きしめたら、壊れそうだった心臓も、ちゃんと動いた」




知らなかった感情を、布瀬くんのなかで大きくなっていた想いを、正面からぶつけられているようで。視線を逸らせなかった。


布瀬くんの瞳がぎゅっと挟まる。

絨毯の上、僅かな温もりが動いて手繰り寄せられた指先。優しい手のひらに包まれた。
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