クズなアイツが惚れたなら、
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そして今日、布瀬くんと少し話すつもりでいる。
いつまでもこのままにはしておけないから。
持ち寄ったりんごを3人で談笑しながら食べ終えて、送るよと言ってくれた布瀬くんと一緒に病院の外に出る。
なにから話そう、とエレベーターの中でもずっと考えていて。よし、と視線を上げた時には、既に布瀬くんがわたしを見ていた。
「ごめんね、ゆい。俺から話させて」
「布瀬くん…」
「ずっと悩ませたよね、ほんとにごめん。
俺、ゆいに自分から言いたいことがある」
「……うん、聞くよ」
一度、目が伏せられる。
次に持ち上がった時には、しっかりとわたしが映っていた。
「約2週間、かな。俺のわがまま聞いてくれてありがとう、もう大丈夫。おかげで母さんも徐々に回復してるんだ」
布瀬くんのお母さんは精神疾患を患っていた。
お父さんが亡くなって、慣れないハードな仕事もやりながら布瀬くんを育てて、大変だったんだと思う。
それを支えようとしていた布瀬くんも気苦労が絶えず、体調を崩しがちだった。だから今回、お母さんが倒れて、保っていた、どんな時でも笑っていた彼の平静が均衡を失ったのだ。
回復に向かってほんとによかったと、心からそう思う。