クズなアイツが惚れたなら、
after short story 1



*梅野side*



「夜市くん、頭撫でてほしい」



付き合って1ヶ月と少し。

わたしの家でソファーに座っている夜市くんを、ちょっぴり甘さを込めた瞳で見上げてみる。


こんな言動の理由は、先日見た月9ドラマにあった。



幼なじみに想いを寄せている女の子がさらっと頭を撫でられて嬉しそうに笑うシーン。何気ない場面だったけど、ふと思ったのは、


……わたし、まだ頭撫でられたことない。



は?と怪訝な顔をする夜市くんは勇気を出して言ってみたというのに、動こうとしない。


嫌だったかな。
それとも急に意味わかんないって思われた?




「…んじゃあ、こっち」

「え」



不安で視線を下げていたわたしを、ひょいっと手招きが誘ってくる。




「梅野が撫でられに来い」



ふや、と意地悪そうな瞳に甘く見下ろされた。
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