クズなアイツが惚れたなら、

「……ないんだけど」

「へ?」

「今日の絆創膏がないの!」



こうしてなぜか、次の日もその次の日も、わたしに絆創膏を求めては席に戻っていく真波さん。

ふらりと斜め前を見ると、うまく貼れないのか絆創膏と格闘している小さなお顔がゆらゆら揺れている。




………か、かわいい。

まるでペットに餌付してるみたいな…。

いやいや、失礼だよね。




不思議と続いた絆創膏渡しも、真波さんの傷が癒えれば終わりとなり。あーもう話しかけられないかな、なんて思っていると、




「それ、なに読んでるの?」



まさかの、はじめてわたしに興味を示してもらえた。

嬉しくて、つい顔がにやける。




「これね、ブタとぶー子の熱き友情2だよ!」

「…なにその全く興味を惹かれない題名」

「ええ、惹かれるよ、面白いのに…」




真波さんには刺さらなかったか、と肩を丸めると、前から少しぶっきらぼうな「ん」が落とされた。
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