クズなアイツが惚れたなら、
「布瀬とは中学から仲良かったのか?」
「うん」
「誕生日プレゼント渡したりとか…」
「したね」
「放課後、寄り道したりとか…」
「うんうん」
「布瀬との思い出の場所は」
「水族館」
「布瀬の好きな食べ物は」
「たらこパスタ、大葉乗っけて」
「なんでそんなするする出てくんだよ!」
「ええ…夜市くんが聞いてくるんじゃん」
だとしても、普通ほいほい言わねーだろ。
「ごめんごめん」と悪気なく笑う梅野に不機嫌を溜め込んだ息が深く溶ける。
いつか梅野の気持ちが変わってしまったら、と時々思うことがあった。それは、俺の気持ちが変わる気配が全くないからこそ、余計不安として残留し続けてている。
「……うめの」
道端で立ち止まって抱きしめてしまえば、梅野が「夜市くん?」と不思議そうに俺を呼んだ。