クズなアイツが惚れたなら、

照れくさそうに身をよじる母さんと、それを微笑みながら見つめる父さん。

毎度毎度見慣れた光景をそばで見ているこっちの気持ちにもなってほしい。


人前でも堂々と手を繋ぐし、未だにお揃いのパジャマだって着ていて。

仲が良いことで近所でも知られている両親が唯一した喧嘩といえば、家に出てしまったゴキブリをなんとか仕留めようとした母さんが足をぶつけて怪我をして、それを父さんが怒ったとか、そのくらいだ。


いったいいつになったら、このふたりは新婚気分から覚めるのか。

そう思いながら、父さんの言うとおり、確かにうまいハンバーグを口いっぱいに頬張った。





「氷ちゃん、氷ちゃん」


夕食が終わってソファーの上でごろごろしていると、一枚の用紙を持ってバタバタと俺の方に寄ってくる母さん。



「これなんだけど、氷ちゃん、国語が苦手じゃない?」

「…まあ」
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