クズなアイツが惚れたなら、(旧・プレイボーイが落ちるまで)
のらりくらりと話しながら、スカートのホックに手をつけた瞬間、携帯音が鳴って。
あーあたしだわ、と手に取った先輩が途端にしかめっ面をする。
「悪いけど、あたしいくわ」
「おー」
さっまで乱れていた制服を慣れた手つきで元通りにして、ドア方面へと歩いていく先輩。
「じゃあ、今度会う時は少しくらい成長しとくんだぞ、氷牙」
余裕げに唇の片端だけあげた先輩に、そっちもなと返して、俺はそのまま壁にもたれた。
窓の向こうでは運動部の声が入っては消える。
数分間じっとしていても寝る気にはならず、なんとなく空き教室を出て階段を下りた。
見慣れた教室が立ち並んでいる横をゆるりと歩く。
そうして見えてきたのは、自分の教室。
音を立てずに首を傾けると、梅野と男がまだ中にいるのが見えた。