クズなアイツが惚れたなら、
曖昧なままの境界線
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「なぁ、おまえのクラス、布瀬ってやついるだろ。知ってるか?」
金曜の昼間、俺の横で学食のラーメンをすすっている直江に聞いてみれば、一拍も置かずに返答が返ってきた。
「知ってるもなにも、俺、部活一緒」
「マジか」
「マジ。なに、氷牙、布瀬と面識あったっけ?」
「いや、昨日、初めて喋った」
首を傾げる直江に簡単に経緯を説明すると、だんだん理解してきたのか、途中からお得意の面白がるような笑みを浮かべてくる。
だからこいつに話すのは嫌なんだ。
そう思いはするが、こいつ以外に話す相手が見つからないんだから文句は言えない。
「はははっ、氷牙がゆいちゃんに勉強教わってんの? しかも国語って……くっ、」
「うるせえな。いいだろうが」
「いいけど、いいけどさ。ゆいちゃん、大変だろうね」