クズなアイツが惚れたなら、
言葉足らずでわかりにくかったものの、確かに頷ける部分はあった。
直江が話したとおり、特別有名校でもない俺の高校は、ここから近い2つの中学から来るやつがほとんどだ。
たまに県内で少し遠めの中学から来るやつもいるが、県外からとなると、単なる引っ越しか、べつの何かか。
そういえば、梅野の家は俺の近くだった。
普段、帰り道でなかなか同じ生徒は通らない道のり。
俺は家が遠いだけだけど、梅野は引っ越してきたのか、あそこに。
「ていうか、最近、ゆいちゃんの話題多くない?」
メンマを加えたタイミングで、ちらっと視線を寄越す直江。
「もしかして氷牙、ゆいちゃんのこと気に入っちゃった?」
「はあ?」
「だめだよ、ゆいちゃんは、女神なんだから。ただでさえ男子に煙たがられてるのに、ゆいちゃんまで弄んだら氷牙、もっと嫌われるよ」
「そんなんじゃねえよ」