クズなアイツが惚れたなら、






「氷牙、今日ひまー?」


休み時間、廊下に出るたびに女が群がってくるのはいつものこと。


「放課後あそぼーよ」

「ずるい、わたしも誘おうと思ってたのに」


早い者勝ちーと、ピースをかざす女が俺を上目遣いで見てくる。

たぶん、連絡先の下の方にいるやつなんだろうけど、記憶にない。



「わるいな、俺、放課後は勉強しなきゃなんだよ」

「え〜なにそれ、氷牙が勉強? 嘘だあ」



嘘じゃねーわ。

いくら今までまともに勉強をしてこなかった俺でも、赤点連続で追試さえも不合格で、そのうえ留年なんて、さすがに困る。



「どうせまた、女の子でも落とそうとしてるんでしょ。追いかけて楽しんで、自分になびいたら、捨てるんだ?」

「はいはい、そんなとこ」


すべてを説明するのが面倒で、適当に相槌を打つ。
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