クズなアイツが惚れたなら、

「国語やるよ」


教える気になったのか、梅野が俺の席の前でイスを止める。

俺も机の上に教材を乗せた。



「これ、覚えたいんだけど」


今日の難関は漢字だ。

画数は多いし、見慣れない字ばかりで、覚えても覚えて次の日には頭から消えていく。

これじゃあダメだ。



「わたしのやり方でいい?」

「あぁ」

「漢字は基本書いて覚える。で、ただ書くだけじゃなくて覚えてるのかテストすることの方が大事なの。だから、定期的に思い出す作業をして、それを繰り返す」



わたし数学やってるから一通り覚えたら呼んでね、と梅野は自分のノートに視線を落とす。

了解とだけ呟いてペンを走らせた。



ノート半分を酔いそうな漢字が埋め尽くした頃、手首が痛くなってきて手を止める。

ふと横を見れば、乱れない姿勢で公式のような数字を書いている梅野が目に入った。
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