クズなアイツが惚れたなら、
同じクラスの梅野ゆい。
俺でも認知しているこいつは、男のなかじゃあ少しばかり有名だったりする。
基本一匹狼でありながら、頼まれ事やクラスの雑事なんかは率先して引き受ける。
ナンパも適度にかわすけれど、決してバカにした態度はしない。
顔面ブスだろうが、いじめられっこだろうが、誰にでも優しい。
『女神』
密かに男の間でそう呼ばれている梅野と、まさか学校外で会うなんて。
「あの、」
「はいはい、注文な」
梅野はあくまで俺にはノールックでいたいらしい。
べつに俺もどうこうする気はないから、おとなしくメニューを伝えた。
パタパタと忙しなく動き回っている梅野をなんとなく見ながら、ひとつ、不満が湧く。
げって……なんだよ。
どう受け取ってもプラスの言葉じゃない。