クズなアイツが惚れたなら、

「せ、先生が生徒脅してもいいの!?」

「なら男女が保健室で、人に見られちゃまずいようなことするのはいいの?」

「なっ」



言い返されてたじたじになる花音。

この先生は思ったより手強いな。



「そんで、きみ、夜市くん。あなた、ここを使ってる常習犯としてしっかり記憶してるから」

「はは、気をつけまーす」



結局、出なさいと背中を押されて、ふたりまとめて追い出されてしまった。


あー、ここも使いづらくなるな。
やっぱり空き教室に適当に誰か呼べばよかったか。



「ねぇ、氷牙」

「ん?」

「次の授業、さぼっちゃう?」

「は?」

「花音、もっと氷牙といたいなあ」



甘い声で誘ってくる花音に、いいぞと答えた。

ついでに肩に手を回してやれば、嬉しそうに微笑む。
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