クズなアイツが惚れたなら、
……どうしろってんだ。
手伝えとでも?
ほうきで埃をはらう梅野を横目にため息を吐く。
「そんな頑張ったって、だれも見てくれねーよ? 俺みたいに、適度に手抜いて愛想振りまいときゃいいのに」
梅野みたいな真面目ちゃんは報われない。
そこんとこ、わかんねーかね?
「そんなので気を引くなんて、ダサいじゃん」
「…は?」
手を止めた梅野が、こっちを振り返る。
「わたし、べつに、やりたくないことはしてないよ。自分の意思で掃除してるの。そういうちょっとしたとこ、見てくれてる人だっているし、わたしはそういう人に好かれたらラッキーくらいかな」
だれが見てんだよ、布瀬か?
ていうか、いま、俺のこと、ダサいっつったな。
……はぁ、梅野とは、ほんとに、とことん合わない。
「べつに、俺だって、気を引こうとなんてしてない」
「じゃあ……夜市くんに惹かれるオーラがあるんだね。 よっ、人気者オーラ」
突然、ひらひらと手を舞わせて笑いかけてくる梅野。
両手を離してしまったせいで倒れたほうきに、あっ、なんて間抜けな声まであげて。