クズなアイツが惚れたなら、(旧・プレイボーイが落ちるまで)

ぴくっと肩をあげた梅野の両手には、しっかり受け取った焼きスルメがあった。

反射神経はいいんだな。


「ナイスキャッチ」

「ど、どうも。……あ、お金」

「いーよ、んなの」

「…ありがとう。プチサプライズってやつだね。へへ、嬉しい」



ふにゃっと笑った梅野が自動ドアを出ようとしたところで、あっと声があがって。


───ビシャっと、なにかが溢れた。




「ご、ごめんなさい…」


下を向く、小学生くらいの子供。


その手にあった瓶のジュースの中身が、梅野にぶつかって溢れたようだ。

制服に飛び散っている。


「ぜんぜん大丈夫だよ」


子供の頭を撫でた梅野に、奥からバタバタと音がして、店員がタオルを持ってくる。



「すみませんっ、うちの息子なんです」

「あ、そうなんですか、大丈夫ですよ」

「でも、制服が…」

「ははは、かかっちゃいましたね。タオルお借りしてもいいですか?」

「あっ、はい」
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