クズなアイツが惚れたなら、(旧・プレイボーイが落ちるまで)

梅野がささっとトイレの前の手洗い場に行って、制服をすすぎだす。


「すみません、本当に」

「いや、俺は」


その間にこっちにまで頭を下げられて、なんだか萎縮してしまった。


あそこのスペースでしか食べたり飲んだりしちゃダメなのよ、と。
イートインコーナーを指差して、子供に言い聞かせた母親が床の水滴を拭いてから、コンビニの店員としてレジに戻っていく。



「お姉ちゃん、」


すすぎ終わったところで、もう一度駆け寄った子供に、梅野がまた優しく頭を撫でた。



「とれた?」

「うん、完璧にとれた」

「キルミネーションを作ろうと思ってたら、ぶつかって、ごめんなさい」

「……キルミネーション?」

「うん!」


「イルミネーションだろ」



察しの悪い梅野に横から口を挟む。
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