クズなアイツが惚れたなら、
少し顔を下げた梅野が、俺から逃れるように、こっちに向いていた足先を曲げる。
「話したくないのかなと思って、夜市くん」
話したくない? 俺が?
…………そうだ。
思考を巡らせてピンとくる。
今日の昼休み。突然隣に座って、なにも言わずにサンドイッチをひたすら食べて、そのうえ怒ったように立ち上がって去っていった。
梅野からしたら、俺は、ついさっきまで、わけのわからない言動を繰り返していた意味不明野郎に違いない。
ポケットに突っ込んでいた指先を、急に格好がつかなくなって空気に触れさせる。
「その……さっきは、わるかった」
「え!」
「びっくりしすぎだ」
だって夜市くんが謝るなんて、と。
相変わらず生意気に目を丸くさせた梅野を睨む。
「まあ、いいよ、べつに。
……見られたくなかったんでしょ」
「…なんのことだ」