クズなアイツが惚れたなら、
「国語の結果聞いたとき、話しかけてほしくなさそうだった」
「……あれは、」
そっぽを向く梅野。
怒ってるのは、学食でのことじゃなくて、こっちか。
「夜市くん、あんまり特定の子と仲良くしてるイメージないもんね。ごめんね、席まで行っちゃって」
「ちがう、そんなんじゃない」
…じゃあ、どんなんだ。
自分でそう思いながら、強めに出てしまった否定に喉元が動く。
「……国語は助かった。うまくできたし、梅野には……感謝、してる」
ぎこちない言葉。
視線は合わせずに宙に浮く。
こいつの前では、なぜか慣れてない言動が出てしまう。
「どういたしまして!」
ふふっと笑った梅野が嬉しそうに頬をゆるませる。
たぶん、今日、俺に向けられた笑顔は、これが初めて。
だから、なんだ。
何度も戸惑いが運ばれてきて、どこか落ちつかない。
「夜市くん、感謝してるなら、あめちょうだい」
「ざけんな、誰もがおまえみたいにポケットに常備してると思うなよ」