【女の事件】アタシ、ダンナの妹からグロウされたかも…
第7話
その日の夜8時頃のことであった。

ところ変わって、ダンナの実家にて…

ダンナは、アタシのもとに帰らずに実家へ帰るようになった。

この時、夫婦関係は極力悪化したようだ。

家の居間には、ダンナと義父母がいた。

居間の空気がものすごくよどんでいた。

ダンナは、義父母に対して1月に行った健診で『要精密検査』と言われたことを伝えた。

義父母は、力ない声で言うた。

「困ったわねぇ…」
「ああ、そのようだな…」
「はなが直属の上司から寿退社《ことぶき》を延期してくれと言われて急に転勤を命ぜられた…その結果、はなが勝手なことをするようになった…養子に出した3人の息子たちは全員出向を言い渡されて、劣悪な待遇面で働かされている…その上に…晴彦が…ガンに侵された…」

ダンナは、力ない声で義母に言うた。

「あした…仕事を休んで、松山のがんセンターへ精密検査を受けに行く…」
「そうね…晴彦…つらかったよね…こんなことになるのだったら…よしえさんと結婚しない方がよかったわね…よしえさんを晴彦の結婚相手に選んで大失敗したわ!!」

義母の言葉に対して、義父はものすごくつらい声で言うた。

「そのように想えば…そうだったのかもしれない…門脇の家の一人娘を晴彦の結婚相手に選んで門脇の家の婿養子に出したことが間違いのだった…それと、この事故物件に家を建てたことも間違いだった…こんなことになるのだったら…家なんか建てるのじゃなかった…こんなことになるのだったら…晴彦を結婚させるのじゃなかった…こんなことになるのだったら…はなに…婿を取らない方がよかった…」

ひ弱な声で言うた義父に対して、ダンナは強烈な声で言うた。

「今ごろ遅いわ!!」

ダンナは、全身をブルブルと震わせながら言うた。

「だからやめとけと言うたのだよ…オヤジが家を建てたいと言うたから…オレがあれこれと動いた…それなのに…どうして事故物件であることに気がつかなかったか…クソ…あの担当者《チンピラ》…あの担当者《チンピラ》のせいで大失敗した。」
「晴彦…」
「きょう…職場のモンが週刊誌を片手にヒソヒソと話をしていたのを聞いた…オレ…とんでもない情報を聞いた…」
「どういうわけだ!?」

このあと、ダンナは週刊誌に載っていたとんでもない情報を義父母に話した。

「オヤジ…オフクロ…この家を建てる際に担当になっていた人間が…高知の極悪非道のヤクザのナンバーツーの男だと言うことがわかった…」

ダンナからとんでもない情報を聞いた義父は、顔が真っ青になった。

「ええええええええ!!」
「晴彦!!それ、本当なの!?」
「本当だから言うた!!…それともうひとつ、オレ…重大なあやまちを犯した…」

このあと、ダンナは新築の家を建てる際に重大なあやまちを犯したことを義父母に言うたあとアタシとリコンすると伝えた。

「オヤジ…オフクロ…」
「晴彦…」
「オレ…よしえと離婚すると決意した…」

義父母は、力ない声で言うた。

「そうか…残念だな…」
「もういいのよ…あなた…この家には…嫁はいらないのよ…はなも、生まれた時から恋愛運が悪かったから…はなが求めている条件の男性がいなかったのよ…」
「そうだな…」
「養子に出て行った3人の息子たちのうち…2人は自殺…1人はヤクザと乱闘事件を起こして、刃物で刺されて殺された…ううう…」

義母は、ものすごく悲しい声で泣きじゃくった。

義父は、がっくりと肩を落とした。

こんなことになるのだったら…

新築の家を建てるのじゃなかった…

こんなことになるのだったら…

3人の息子たちを養子に出すのじゃなかった…

ダンナは、台所へかけ込んだあと、冷蔵庫から紙パックの梅錦を出した。

その後、フタをあけて注ぎ口から一気にゴクゴクとのみほした。

その翌日の朝方であった。

アタシは、土居町(四国中央市)の実家へ帰ることにした。

必要最低限の品物を持って部屋を出たアタシは、土居町に帰る前に義母と会うことにした。

その頃であった。

ダンナは、朝イチの特急バスに乗って松山へ向かった。

ダンナは、松山市駅のバスターミナルでバスを降りたあと、川内方面行きのバスに乗り換えて四国がんセンターへ向かった。

ダンナは、そのまま現地で入院生活を始めることになった。

ところ変わって、今治桟橋にあるはーばりーの1階のカフェテリアにて…

アタシは、義母と一緒にコーヒーをのみながらお話しをした。

この時、義母はアタシに離婚届をつきだしたあとどぎつい声で言うた。

「よしえさん…離婚届にサインして!!」
「離婚届…」
「よしえさんのせいで、うちの家庭がズタズタに壊れたのよ!!どうしてくれるのよ!!」

義母は、怒りを込めてアタシに言うたあとダンナが末期の胃ガンであることを伝えた。

それを聞いたアタシは、ものすごく悲しい表情を浮かべた。

義母は、より強い怒りを込めながらアタシに言うた。

「よしえさん!!よしえさんのせいで、はなは銀行をクビになったわよ!!はなの婚約者の男性は…同僚の婚約者の女性とかけおちしたあと…」
「あっ…アタシ…」
「よしえさん…離婚届にサインしてコーヒーのんだら土居町の実家へ帰りなさい!!」

義母から凄まれたアタシは、しぶしぶとした表情で離婚届にサインした。

義母は、離婚届を手にしたあと、何も言わずに店から出た。

ちょうどその頃であった。

ダンナの実家付近の交差点で恐ろしい事件が発生した。

(キーッ!!ドスン!!)

ダンナの実家の新築の家にソクハイのトラックが一時停止を無視して交差点に侵入してきた大型バイクをよけたとたんに、そのはずみでトラックが新築の家に突っ込んだ。

それと同時に、家屋が全壊した。

この時、家の中には義父がいた。

義父は倒壊した建物の下敷きになって亡くなった。

トラックを運転していた男性は、シートベルトをしめていなかったことが原因でフロントガラスを突き破って外へ投げ出された。

そのはずみで、となりの家のビルの壁に頭をぶつけて亡くなった。

一時停止を無視して交差点に侵入してきた大型バイクの男性は、トラックにひかれてそのまま亡くなった。

顕著《ケンチョ》な交通事故が発生した現場に、愛媛県警《けんけい》のパトカー4台と捜査員20人がいた。

捜査員たちは、しかめた表情で現場検証を行っていた。

周辺の住民のみなさまがものすごく心配な表情で見つめていた。

その一方で、1ヶ月前に旭町の焼き鳥屋で乱闘事件を起こした勝祝《かつのり》が、3日前に発生した殺人事件でケーサツから特別手配をされた。

これで勝祝《かつのり》は、一生追われる身になった。

ドラマは、大きな傷を遺したまま幕を閉じた。

【終】
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