意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
「な、何これ……」

 昼食を終えて戻ってきた私は、自分の机の横にある日吉さんの机を見て愕然とした。お昼に行く前は綺麗だったはずの机の上は、明らかにわざと置いたであろう不要な資料の束がダンボールに入れられて置いてあった。

「あ、日吉くんがこの資料、全部シュレッダーにかけておいてくれって言ってたよ」
「そ、そうですか……」

 これは恐らく、先程の仕返しだろう。

 私がシュレッダー作業好きじゃないの分かってるから、あえて用意したのだ。

 まぁでも、これくらいの嫌がらせ程度なら可愛いものだと割り切った私は、早々に作業へと取り掛かかった。


「日吉さん、終わりました」
「随分早かったな、もっとゆっくりやってても良かったんだぞ?」

 あれから約一時間程で全てシュレッダーをかけ終えた私は、昼休憩から戻って来た日吉さんに作業終了の報告をすると、意地の悪い笑みを浮かべながら返してくる。

「いえ、あれくらいの仕事にいつまでも時間をかけてはいられませんので」

 それに負けじと私も言い返すと、からかいがいのない奴と思ったのか、それ以上は何も返して来ない。

「次は何をすればいいでしょうか?」
「……そうだな、それじゃあこの企画について、お前ならどんな意見を出すか、少し考えてみろ」

 次の指示を仰ぐと、日吉さんは一枚の紙を私に手渡してくる。その紙は、あるイベントの企画書案らしく、様々な意見が書き込まれていた。

「まぁ、それはもう過去のものなんだが、これから先企画に携わっていきたいのなら色々なイベントの企画に触れるのは大切な事だ。これから時間のある時は過去の色々な企画書を見せてやるから、お前なりの意見を出してみろ」

 また雑用を言い渡されると思っていた私は日吉さんの指示に驚いたのと同時に、教育係としてやはり彼は適任なのかもしれないと思い直す。

 嫌な人だと思う時もあるけど、こういうところは良い人なので、完全に嫌いにはなれない。

「ありがとうございます! 頑張ります!」

 私は日吉さんから過去の企画書を受け取ると、隣の自分の机に戻って早速目を通し始めた。
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