意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
「そういえば、ファンタジック・パークに行くのはイベントの為だとおっしゃってましたけど、どんなイベントなんですか?」
「ああ、子供向けのヒーローショーだよ。よくあるだろ?」
「ああ、ありますね」
「しかしそれだけだと、ショー目当ての客はショーが終われば帰っていく。それでも構わないが、出来る事ならアトラクションなども楽しんで貰えたら嬉しいという事で、ヒーローショーだけじゃなくてパーク自体を楽しんで貰えるような企画をして欲しいと言ってきてな。案を出し合った結果、パークのあちこちにキーワードを散りばめた『キーワードクイズ』も開催しようという話になったんだ。それで景品にはヒーロー関連のグッズを付ける事にした」
「それは良いですね。それだとショーだけじゃなくてパークに居るだけでも楽しめますものね」
「ああ。それでそのキーワードをパークのどこに設置するかという話になってな。パーク側とうちの会社の意見を合わせた上で決めようという事になったんで、企画に関わるからにはパーク全体を知る必要があるんだ」
「そうなんですね」
「七海、お前もこの企画に参加してみるか?」
「え? いいんですか!?」
「せっかく一緒にパークに行くんだ。お前の意見も参考にしたいからな」
「でも、他の先輩方もいらっしゃるのに勝手に……」
「お前の教育係は俺だから、俺の付き添いというポジションなら問題無い。それに、イベント当日の俺らの仕事なんて雑用が殆どで人手はいくらあっても困らねぇからな」
「企画に携われるなんて嬉しいです! ありがとうございます!」
「やる気のある後輩を育てるのが先輩の役目だからな。仕事に関してのお前の評価は高い。今回次第では今後も俺が必要だと思えば積極的に企画には参加させてやるから、良い働きを期待してるぞ」
「はい! 頑張ります!」

 初めこそ緊張していたものの、仕事の話が大半だったおかげかいつの間にか緊張の糸はほぐれていて、無言になる事も無く気付けばあっという間に目的地に到着していた。
< 21 / 49 >

この作品をシェア

pagetop