意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
 ファンタジック・パークに行ってから数日後、無事に企画が通ったらしく私も企画に意見を出したと日吉さんが上に伝えてくれた事で、パーク側との打ち合わせに参加させて貰えて全てが勉強になった。

 新人でこんなにも早くも企画に携われるなんてなかなか無い事だ、優秀だなと周りの先輩からも褒められ私は上機嫌だった。

 だけど、ここからが大変だった。

 ヒーローショーだけならそこまで時間を取られる事も無かったようなのだけど、キーワードクイズの方の打ち合わせが頻繁にあり、話が纏まり開催日が迫るにつれて、その度今回リーダーを務める事になった日吉さんとその付き添いの私がパークに足を運ぶ事に。

 そして直接場所を確認して何度もシミュレーションをしながら最高のイベントに仕上がるよう話し合いを重ねていった。

 日吉さんと仕事をして分かったのは、彼は常に全力投球だという事。

 それに、誰よりも真剣で一生懸命なのが物凄く伝わって来て、側で見ていた私はこの人が指導係で良かったと思えた。


「ついに明日ですね」
「ああ、そうだな」

 イベント前日、明日朝一番で最終確認をしなければならない私たちはパーク近くのホテルに部屋を取っていたので、夕飯をとすぐ側にあるファミレスへ食事をしにやって来ていた。

「明日明後日はとにかくやる事が多い。会社から来る奴らも含めて、俺らはほぼ裏方作業だからな」
「はい」
「それにしても七海、今回は随分お前に助けられたな」
「え? そ、そうですか?」
「ああ、パーク側も褒めてたぞ。着眼点が良いってな」
「褒められるのは、素直に嬉しいです」
「新人でここまでの奴はなかなかいない。俺としても育て甲斐がある。後は自分が準備に携わったイベントを客が楽しむ姿を見て、何を感じるかだな」
「それ、今から楽しみです。準備が大変だったからこそ、喜んでもらえたら嬉しいだろうなって」
「経験を詰めばそれは糧になって、更に次に繋げられるからな。イベントは終わるまで気が抜けない。とにかく、当日のお前の働きも期待してるぞ」
「任せてください!」

 私はとにかく楽しみで、浮かれていた。

 イベントが成功する事だけを一番に考えていた。

 だけど、このイベントが今後の私の日常を変える事になるだなんて――この時は思いもしなかった。
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