意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
その夜、日吉さんは帰って来るなりとんでもない事を口にした。
「七海、週末部屋を見に行くぞ」
「え?」
「ここに二人で住むのは手狭だからな。いっその事新しい部屋を借りた方がいいと思っていたら、社長から良い話を貰ったんだ」
確かに、暫くの間は日吉さんの元で生活をする事にはなったけれど、それはずっとじゃないし、今日一日私なりに考えて、両親に話をして少しばかり引っ越し資金を借りようかと思っていた矢先の出来事だった。
「社長の知り合いに不動産業を営んでいる人がいるらしくてな、いくつか二人で住める部屋を紹介してくれるんだと。事情が事情だから、数ヶ月の契約でも問題無いと言っているらしい」
「あの、ちょっと待ってください! その、それなら私一人が部屋を紹介してもらえば済む話で、日吉さんまで紹介してもらう必要は無いかと……」
「お前な、今回部屋に入られた事だって、ただの空き巣とは決まってねぇし、まだ例の視線の正体も掴めてねぇんだぞ? そんな中でまた一人暮らししてみろ、同じ事の繰り返しになるぞ? それに、俺の方が頼れと言ったんだから解決するまで責任は持つ。その為にも離れて暮らすより一緒に住んだ方が都合も良いんだ。ただ、このマンションじゃ互いのプライバシーも完全には分けられねぇ。だから引っ越す」
「でも……」
「何だ?」
「……その、ずっとという訳には、いかないと思います。それなのにわざわざ新しい部屋を借りるなんて……」
「そりゃそうだな。それじゃあまぁ、ひとまずお前を狙ってる奴の正体が分かるまで……が一番いいか?」
「はい、それで大丈夫です……だから、部屋はこのままで……」
「あのな、どうして俺が引っ越すって言ってるか分かるか? お前の送迎をしていた俺の自宅だって、知られてる可能性は高いんだ」
「あ……」
「だから、いっその事場所を変えた方がいい。だろ?」
「……あの、すみません、本当に」
「お前は、そんなしおらしいキャラじゃねぇだろ? 出逢った初日のあの勢いはどうした? ったく、調子狂うな」
「なっ……! 何ですかそのいい草! 私は本当に申し訳無く思っているのに……。どうせ私は口煩い女ですよ。もう!」
突然の日吉さんの提案には驚かされたけれど、私は嬉しかった。
やっぱり、まだまだ一人は心細いから。
こうして私たちは週末、社長の知人が経営している不動産会社へ足を運び部屋を見せてもらう事になった。
「七海、週末部屋を見に行くぞ」
「え?」
「ここに二人で住むのは手狭だからな。いっその事新しい部屋を借りた方がいいと思っていたら、社長から良い話を貰ったんだ」
確かに、暫くの間は日吉さんの元で生活をする事にはなったけれど、それはずっとじゃないし、今日一日私なりに考えて、両親に話をして少しばかり引っ越し資金を借りようかと思っていた矢先の出来事だった。
「社長の知り合いに不動産業を営んでいる人がいるらしくてな、いくつか二人で住める部屋を紹介してくれるんだと。事情が事情だから、数ヶ月の契約でも問題無いと言っているらしい」
「あの、ちょっと待ってください! その、それなら私一人が部屋を紹介してもらえば済む話で、日吉さんまで紹介してもらう必要は無いかと……」
「お前な、今回部屋に入られた事だって、ただの空き巣とは決まってねぇし、まだ例の視線の正体も掴めてねぇんだぞ? そんな中でまた一人暮らししてみろ、同じ事の繰り返しになるぞ? それに、俺の方が頼れと言ったんだから解決するまで責任は持つ。その為にも離れて暮らすより一緒に住んだ方が都合も良いんだ。ただ、このマンションじゃ互いのプライバシーも完全には分けられねぇ。だから引っ越す」
「でも……」
「何だ?」
「……その、ずっとという訳には、いかないと思います。それなのにわざわざ新しい部屋を借りるなんて……」
「そりゃそうだな。それじゃあまぁ、ひとまずお前を狙ってる奴の正体が分かるまで……が一番いいか?」
「はい、それで大丈夫です……だから、部屋はこのままで……」
「あのな、どうして俺が引っ越すって言ってるか分かるか? お前の送迎をしていた俺の自宅だって、知られてる可能性は高いんだ」
「あ……」
「だから、いっその事場所を変えた方がいい。だろ?」
「……あの、すみません、本当に」
「お前は、そんなしおらしいキャラじゃねぇだろ? 出逢った初日のあの勢いはどうした? ったく、調子狂うな」
「なっ……! 何ですかそのいい草! 私は本当に申し訳無く思っているのに……。どうせ私は口煩い女ですよ。もう!」
突然の日吉さんの提案には驚かされたけれど、私は嬉しかった。
やっぱり、まだまだ一人は心細いから。
こうして私たちは週末、社長の知人が経営している不動産会社へ足を運び部屋を見せてもらう事になった。