意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
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部屋を決めてから二週間後、少しずつ荷物を纏めていた事もあって引っ越しはスムーズに終わり、無事に新居での生活を始める事が出来た。
私の住んでいたアパートに空き巣が入った事は職場の殆どの人に知れ渡ったものの、私が日吉さんと同居する事になったのは社長以外誰も知らない。
相変わらずカップリングにされがちだけど、今は一緒に住んでいるし、何だかんだで優しい日吉さんと一緒に居るのは心地も良くて、周りから何か言われても気にならなくなっていた。
「ここ最近はどうだ? 視線、感じるか?」
「いえ、引っ越して来てからは全然」
「職場周辺でもか?」
「そうですね」
仕事が終わって帰宅して来た私たちは買って来たお弁当を食べながら会話を交わす。
日吉さんから問われ、ここ最近は特に誰かに見られている気配を感じない事を告げると、何か思う事があるのか日吉さんは黙り込んでしまう。
「どうかしましたか?」
「いや、お前を狙ってる奴は、そもそも何が原因でお前に執着し始めたのかと思ってな」
「うーん、確かに」
「初めて視線を感じたのは、確かあのイベントが終わった後、だったよな?」
「そうですね、あの日の帰りでした」
「……お前、あのイベントの日、誰かに声を掛けられたりしなかったか?」
「いえ、特には……」
「本当に何も無かったか? 客とトラブルになったとか」
「いえ、そんな事は……」
日吉さんからファンタジック・パークでのイベントの事を問われて思い返すと、ある出来事が脳裏に浮かぶ。
「あ、そういえば」
「何だ?」
「あの日、キーワードクイズの景品を貰いに来たお客様と派遣の森さんがトラブルになっているのを見つけて仲裁に入りました」
「トラブル? ああ、景品が足りないとか騒いでたが保管場所にあったヤツか」
「そうです」
「その時の相手はどんな奴だったんだ?」
「男性で、ちょっとオドオドした控えめな方でしたけど、景品があると分かったらすぐにその場は収まりましたし、対応に問題は無かったかと……」
「……お前、そいつに名前名乗ったのか?」
「いえ、してません。あ、でも森さんが私の名前を口にしていたかも……」
「……もしかしたら、その男なんじゃないのか?」
「え?」
「その男に狙われてる可能性は否定出来ないな」
日吉さんの言葉に私は目を丸くした。
相手を怒らせたつもりも無かったし、相手も納得してくれたから対応に問題は無かったはずなのに、何か怒らせるような事をして恨まれてしまったのかと。
だけど、日吉さんの考えは私が恨まれて狙われた訳じゃなくて、
「お前、多分気に入られたんだよ、そいつに」
何がキッカケになったのか分からないけれど、相手に気に入られて執着されているのだという仮設を立てた。
私の住んでいたアパートに空き巣が入った事は職場の殆どの人に知れ渡ったものの、私が日吉さんと同居する事になったのは社長以外誰も知らない。
相変わらずカップリングにされがちだけど、今は一緒に住んでいるし、何だかんだで優しい日吉さんと一緒に居るのは心地も良くて、周りから何か言われても気にならなくなっていた。
「ここ最近はどうだ? 視線、感じるか?」
「いえ、引っ越して来てからは全然」
「職場周辺でもか?」
「そうですね」
仕事が終わって帰宅して来た私たちは買って来たお弁当を食べながら会話を交わす。
日吉さんから問われ、ここ最近は特に誰かに見られている気配を感じない事を告げると、何か思う事があるのか日吉さんは黙り込んでしまう。
「どうかしましたか?」
「いや、お前を狙ってる奴は、そもそも何が原因でお前に執着し始めたのかと思ってな」
「うーん、確かに」
「初めて視線を感じたのは、確かあのイベントが終わった後、だったよな?」
「そうですね、あの日の帰りでした」
「……お前、あのイベントの日、誰かに声を掛けられたりしなかったか?」
「いえ、特には……」
「本当に何も無かったか? 客とトラブルになったとか」
「いえ、そんな事は……」
日吉さんからファンタジック・パークでのイベントの事を問われて思い返すと、ある出来事が脳裏に浮かぶ。
「あ、そういえば」
「何だ?」
「あの日、キーワードクイズの景品を貰いに来たお客様と派遣の森さんがトラブルになっているのを見つけて仲裁に入りました」
「トラブル? ああ、景品が足りないとか騒いでたが保管場所にあったヤツか」
「そうです」
「その時の相手はどんな奴だったんだ?」
「男性で、ちょっとオドオドした控えめな方でしたけど、景品があると分かったらすぐにその場は収まりましたし、対応に問題は無かったかと……」
「……お前、そいつに名前名乗ったのか?」
「いえ、してません。あ、でも森さんが私の名前を口にしていたかも……」
「……もしかしたら、その男なんじゃないのか?」
「え?」
「その男に狙われてる可能性は否定出来ないな」
日吉さんの言葉に私は目を丸くした。
相手を怒らせたつもりも無かったし、相手も納得してくれたから対応に問題は無かったはずなのに、何か怒らせるような事をして恨まれてしまったのかと。
だけど、日吉さんの考えは私が恨まれて狙われた訳じゃなくて、
「お前、多分気に入られたんだよ、そいつに」
何がキッカケになったのか分からないけれど、相手に気に入られて執着されているのだという仮設を立てた。