意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
「どうした?」
「……いえ、その……」
「何だよ?」
「実は、まさかそんなストーカーが空き巣の正体かもとは思わなくて言って無かったんですけど、実は、あの時盗られていた物があって……」

 言うか言わないか迷ったけれど、気持ち悪さでどうにかなりそうな私は誰かに吐き出したくて、

「捨てようとタンスの奥に閉まってあった下着が、盗まれていたんです……」

 下着が盗まれていた事を白状すると、

「阿呆か! 何でそういう事をすぐに言わねぇんだよ? 捨てようとしてた物だろうがなんだろうが、相手にとっちゃ好きなお前が身に付けてた下着だ、それだけで済めばいいが、もっとエスカレートする事だってあるんだぞ? どんな些細な事でもいい、隠し事だけはすんな。分かったな?」
「は、はい……ごめんなさい」

 いつになく真剣な顔で怒られてしまい、私はただただ素直に謝った。

 後を付けて来ただけではなく、部屋に忍び込んで盗みまで働いていたとなると、相手はもう、ただ見てるだけでは満足出来なくなっている可能性があるかもと日吉さんは言っていた。

 ここ暫く何も無いのも、もしかしたら油断させる為かもしれないから気を抜くなと注意もされた。

 だけど、行き帰りは勿論、日吉さんとは家も一緒だから安心しているところはあった。

 だからきっと大丈夫、そう思ってた。


「来週末のイベント手伝い、お前は休んだ方が良い」

 来週末、ショッピングモールの屋上で開かれるヒーローショーイベントをうちの会社が企画していて、その手伝いを社員の大半で行うのだけど、そのグループに私や日吉さんも入っていた。

 ヒーローショーだし、例のストーカーが来る可能性が極めて高い事から心配した日吉さんが「休むべき」と言ってきたけど、折角のイベントだし、例え裏方でも少しでも多くのイベントに携わりたい私は休みたく無かった。

「……だけど、これから先も休んでなんていられないですし、出来る限り一人で行動しないようにしますから、参加させてください!」

 だから、出来る限り一人にはならない、例の男の人が接触して来そうになったらすぐに逃げる、とにかく気をつける事を条件に、渋々ながら日吉さんは私が参加する事を承諾してくれた。
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