意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
自宅に着いて、お風呂に入った私は部屋でひと息吐く。
ご飯は食べる気になれなくて、コンビニで買って来たおにぎりを一つだけ食べた。
今日は早く寝た方がいいと言われて部屋に篭っているけれど、こうして一人の空間に居ると、昼間の出来事を思い出して怖くなる。
眠ろうとベッドに入っても、目を瞑ると首を締められたあの時の事がフラッシュバックして、身体が震えてくる。
どうしても一人で居るのが怖くて堪らなくなった私は部屋を出ると、リビングに居る日吉さんに声を掛けた。
「日吉さん……」
「どうした?」
「……あの、私……」
傍に居たい、一人にしないでと言いたいのに、言葉が出て来ない。
いつまでも何も言わない私を前にした日吉さんは私が言いたい事を悟ったのか、「眠れないのか? いつまでもそんな所に突っ立ってないで、こっちに来い」と手招きしながら自分の横へ来るよう言ってくれたので、コクリと頷いて彼の横に腰を下ろした。
「眠れないのか?」
「……はい。あの、目を瞑ると、昼間の事を思い出して……怖くて……」
「そうか……」
こんな事を言われて、日吉さんは困っているに違いない。
怖くても眠らなければならないし、明日だって仕事がある。
これ以上迷惑をかけない為にも怖いだなんて言っていられないのに、ついつい弱音を吐いてしまった事を後悔する。
「……ごめんなさい、こんな事言われても困りますよね。すみません……」
やっぱり部屋へ戻って、無理にでも眠ろう。
謝罪の言葉を口にした私が再び立ち上がろうとした、次の瞬間――。
「日吉……さん?」
私の身体は日吉さんに包み込まれ、抱き締められていた。
「悪い、そうだよな。眠りたくても、目を瞑れば色々思い出しちまうよな」
「いえ、そんな……日吉さんは悪くありません……」
「家の中は安全だからゆっくり出来ると勝手に思い込んでた。悪い。こういう時は一人になるより誰かが傍に居た方がいいんだろうな。俺で良ければ傍に居てやるから、ゆっくり休め。それとも、何か映画でも観るか?」
「日吉さん……」
彼の気遣いと優しさに、思わず涙が溢れそうになる。
日吉さんは本当に、狡い人。
こんな時こそ、いつまでも落ち込むなとか、らしくないとか、いっそ憎まれ口の一つでも言ってくれた方がいいのに、いつも以上に優しくしてくれるんだから。
ご飯は食べる気になれなくて、コンビニで買って来たおにぎりを一つだけ食べた。
今日は早く寝た方がいいと言われて部屋に篭っているけれど、こうして一人の空間に居ると、昼間の出来事を思い出して怖くなる。
眠ろうとベッドに入っても、目を瞑ると首を締められたあの時の事がフラッシュバックして、身体が震えてくる。
どうしても一人で居るのが怖くて堪らなくなった私は部屋を出ると、リビングに居る日吉さんに声を掛けた。
「日吉さん……」
「どうした?」
「……あの、私……」
傍に居たい、一人にしないでと言いたいのに、言葉が出て来ない。
いつまでも何も言わない私を前にした日吉さんは私が言いたい事を悟ったのか、「眠れないのか? いつまでもそんな所に突っ立ってないで、こっちに来い」と手招きしながら自分の横へ来るよう言ってくれたので、コクリと頷いて彼の横に腰を下ろした。
「眠れないのか?」
「……はい。あの、目を瞑ると、昼間の事を思い出して……怖くて……」
「そうか……」
こんな事を言われて、日吉さんは困っているに違いない。
怖くても眠らなければならないし、明日だって仕事がある。
これ以上迷惑をかけない為にも怖いだなんて言っていられないのに、ついつい弱音を吐いてしまった事を後悔する。
「……ごめんなさい、こんな事言われても困りますよね。すみません……」
やっぱり部屋へ戻って、無理にでも眠ろう。
謝罪の言葉を口にした私が再び立ち上がろうとした、次の瞬間――。
「日吉……さん?」
私の身体は日吉さんに包み込まれ、抱き締められていた。
「悪い、そうだよな。眠りたくても、目を瞑れば色々思い出しちまうよな」
「いえ、そんな……日吉さんは悪くありません……」
「家の中は安全だからゆっくり出来ると勝手に思い込んでた。悪い。こういう時は一人になるより誰かが傍に居た方がいいんだろうな。俺で良ければ傍に居てやるから、ゆっくり休め。それとも、何か映画でも観るか?」
「日吉さん……」
彼の気遣いと優しさに、思わず涙が溢れそうになる。
日吉さんは本当に、狡い人。
こんな時こそ、いつまでも落ち込むなとか、らしくないとか、いっそ憎まれ口の一つでも言ってくれた方がいいのに、いつも以上に優しくしてくれるんだから。