意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
「新実の担当は海木(かいき)、里中の担当は柏倉(かしわくら)、七海の担当は日吉だ。新人教育、しっかりと頼むぞ」

 間中企画長は迷いなくそう言うと、会議があるから後は各々に任せたと言って席を立ってしまう。

 残された私たち新入社員と先輩社員たちは一瞬の沈黙の後、

「それじゃあ、各自仕事に戻ろうか」
「そうね」
「ああ」

 先輩社員たちが言葉を交わし、私たち新入社員はそれぞれ教育係となった上司の元に着いて行く。

「まさか俺がお前の教育係になるとはな」

 そして、自分のデスクに着いた日吉さんは、開口一番に言った。

「私も、驚きました」

 日吉さんが驚いているのと同じくらい、私も驚いていた。まさか、彼が私の教育係になるなんて思いもしなかったから。

 朝の出来事さえなければ、こんなイケメン上司の元で働けるなんて! と喜んでいただろうけれど、色々と失態をしてしまった後だと、素直に喜べないし、(むし)ろ気まずい。

 大体、三人の担当者がいて、何故私の担当が彼なのだろう。一人女性社員がいたのだから同性同士をペアにすれば良さそうなものを。

 今日は本当にツイてない。負の連鎖はいつまで続くのだろうか。

 とまぁ色々思う事はあるけれど、今は勤務時間中だし、私は新入社員で今日から本格的に仕事が出来るのだから、いつまでも嘆いてばかりはいられない。

「早速ですが、日吉さん、私は何をすればよろしいでしょうか?」

 とにかく一生懸命働いて、少しでも早く大きな仕事を任されたい私は、日吉さんの隣の空いてるデスクに荷物を置いて、指示を仰ぐ。

「……そうだな、それじゃひとまず、お前のデスクに乗ってる資料はもう要らないから、全てシュレッダーにかけてきてくれ」
「…………シュレッダー……ですか」

 新人だし、間中企画長も新人の仕事は雑用が主だと言っていたから、仕方ないのは分かってる。

「何だ? 不満か?」
「い、いえ! そんなことはありません! 早速シュレッダーにかけてきます!」

 けど、不満が表情に表れてしまったのだろう。日吉さんに指摘された私は慌てて否定すると資料の束を持ってシュレッダーへ向かって行った。
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