意地悪な俺様上司と秘密の同居生活~異性には無関心だと思っていた彼だけど、結構独占欲強めの人でした~
 シュレッダーとか正直地味な仕事という印象しか無いけれど、お茶汲みのような雑用よりはマシな気もすると割り切って、時折資料に目を通しながらシュレッダーにかけていく。

 ふと辺りを見回すと、先輩たちは皆、真剣な表情を浮かべてPCに向かっている。

 そして同じく新入社員の新実くんと里中くんはというと、やっぱり私と同じような雑用を言いつけられているようで、新実くんはコピー機の前で一生懸命コピーをとり、里中くんは教育係になった先輩社員のデスクを片付けていた。

 その光景に安心した私は、さっさと終わらせて、次の仕事を貰おうと意気込んだ。

 けれど、結局次に与えられた仕事もまたシュレッダーにかける作業で、イベント企画会社初の勤務はシュレッダーをかけるだけで終わってしまうのだった。


「はぁ……疲れた」

 大した仕事はしていないのに、何故か疲労感が半端ない。恐らく、ずっと立ちっぱなしだったからかもしれない。

 帰ったらお風呂でゆっくり半身浴でもしながらマッサージをしようなどと考えながら、会社を後にする。

 ところが、ここで一つ問題が発生した。

「あ……私、財布ないんだった……仕方ない、歩いて駅まで行くしかないか」

 ICカードがあるから電車には乗れるものの、今日どこかでチャージしようと思っていたからギリギリの金額のままで放置していて、今ここでバスに乗ると電車に乗る分の金額が残らないので、必然的にバスには乗れない。

 こんな事なら後回しにしないで事前にチャージしておくんだったと後悔しつつ、私は駅までの道のりを一人歩き始めた、その時、

「七海」

 私を呼ぶ声が後ろから聞こえてきたので振り向くと、そこには日吉さんの姿があった。
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