僕に依存してほしい。【ピュアBL】
 12月31日の夕方に小谷家の3人が俺の家に来た。
 今年もいつも通りに歩夢と蕎麦を食べて、音楽番組を観てのんびり過ごせた。

「今日も一緒に夜更かしするだろ? 歩夢、そういえば去年は朝まで起きるって言ってたのにリビングのソファでいつの間にか寝てたよな」

 去年、歩夢の親たちは先に家に帰って、俺の親たちも先に寝て。ふたりきりで一緒に夜中、テレビを観ながら過ごしていた。歩夢はうとうとしながらも「まだ起きていられるよ!」なんて強がっていた。だけど4時ぐらいに一緒に座っていたソファでクッションを抱きながら、いつの間にか眠っていた。

 可愛いなと思いながら毛布をかけてあげて、俺はソファからおりて頭だけソファに置いて寝た。

 23時。今もすでにふたりきりでリビングにいた。

「今年は自分の家に帰って早めに寝るよ」
「……はっ? なんで?」
「あのね、明日は朝から用事があるから」
「元旦早々、何の用事?」
「友達の家に行くの!」

「来年朝まで起きるのリベンジする!」って去年悔しそうに言っていたから、今年も朝まで一緒に起きてるのかなと思っていたのに。


 1月1日に俺以外のやつと過ごすとか、信じられん。

「もしかして、友達って悠生って人?」
「うん、そうだよ!」

 明るい声で答える歩夢。

「じゃあ、おみくじ引きにいかないの?」

 毎年、年が明けた日の昼頃、一緒に行っている近所の神社。
 今まで年末年始はずっと一緒にいたから、一緒に行くのが当たり前だと思っていた。

「あ、ちょっといつもより時間遅くなるかもだけど、一緒に行きたいな」

「……いや、無理しなくていいよ。別にその友達と行けばいいし」

 寂しそうな表情をしながら無言な歩夢。
 そんなこと言わなければよかった。

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