僕に依存してほしい。【ピュアBL】
「歩夢くん、またね! 寒いとこにしばらくいて身体が冷えていると思うから、家では風邪ひかないように暖かくしてね」
「気にしてくれてありがとう。悠生くんもね!」
「うん、あとで連絡するね!」

 結局俺はあいつの言葉に返事は出来ず、じっとふたりを眺めているだけだった。

 あいつの姿が見えなくなってから歩夢に話しかけた。

「なぁ、なんで俺とじゃないの?」
「えっ?」
「初詣だよ。毎年一緒に行くのが当たり前だったじゃん」
「……そうだけど。怜くんが言ったんだよ『友達と行けば』って」
「言ったけど……」

 うん、確かに俺が言った。
 だけど結局はなんだがんだで今年も一緒に行くと思うじゃん。歩夢も同じふうに考えてるって思ってた。なのに……。

「はぁ……付き合ったとかも意味わからねぇ。俺も今から神社行ってくるわ」
「ひとりで行くの?」
「そうだけど」
「僕も一緒に行く? 寂しくない?」
「別に寂しくねーし。寂しかったら俺もお前以外のやつと行くし」
「でも……」

 困り顔している歩夢に背を向けて神社に向かった。ひとりで。

 きっと後ろで立ち止まって、そのままの顔でこっちを向いているんだろうな。

 道を曲がる時ちらっと後ろを見た。
 予想とは違って、歩夢の姿はなかった。

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