僕に依存してほしい。【ピュアBL】

**怜視点。本当に弟みたいなだけなのか?

 歩夢はあいつと何回もリフトに乗った。さっき歩夢が転んだ時、歩夢を助けたのもあいつだし。

 俺じゃなくて――。

 最近の歩夢は俺よりもあいつと一緒にいる時間が多い。それだけでもなんかムカつくのに、実際に目の前で仲良くしている姿を見ていたら……。

『 もっとムカつくー!』って雪山を滑っている時、心の中でおもいきり叫んだ。

 今日のスキーだってあいつが来ること、俺だけが知らなかった。知ったのは朝、あいつの姿を見た時だし。

 はぁ……。ふたりで滑った方が楽しいのに。

 俺と歩夢の間にいきなり割り込んでくるなよ。今年はあいつがいるからつまらん!

 ずっとそんなことをもやもや考えていた。

 そしてリフトに乗るのがラストの時「最後、俺と乗ろ」って、気がついたら誘っていて、歩夢といつの間にかリフトに乗っていた。

 歩夢に恋人が出来た辺りから、今までの歩夢とは違う歩夢に見えてきていた。

 今まではずっと弟のような、小さい頃の歩夢のままだったのに、急に成長して大人に近づいて。俺の手の中にいた歩夢がするりと手の隙間から抜けていき、遠くに歩いていっている気がした。

 リフトにふたりで乗った時も今までと違う感じだった。今までは普通に会話出来ていたのに。

 隣にいる歩夢を意識すればするほど、話し方を忘れたみたいに、何も言葉が出てこなくて。なんか胸の鼓動も早くなって、心がバグってた。
 
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