僕に依存してほしい。【ピュアBL】
「キャンセルしてくる!」

 歩夢は家を出ていった。

 そしてすぐに帰ってきて「悠生くんに怜くんとのことを伝えたらね、恋人がダメなら僕に弟になってほしいって。だから僕、それならいいよって言ったよ」って報告してきた。

 あいつが歩夢の兄?
 あいつの考えは俺の予想を超えてきた。

 俺はこれから歩夢の恋人になるだろう。けれど、兄的な立ち位置でもある。それを奪おうとしているのか。

「なんで弟になってって頼まれて『 いいよ』って言ったんだよ」
「だって、前に僕が怜くんのことばかり悠生くんに話してた時にね、悠生くんが寂しいって言ってたの。怜くんとのことを伝えてる時にそれを思い出して。悠生くんをこれ以上寂しい気持ちにさせちゃうのが嫌だったの……それに悠生くん、お兄ちゃんっぽいし」

 あちこち流されやすい歩夢もだけど、あいつも侮れん。俺らの仲の隙を狙ってきそうな気がして油断が出来ない。

「歩夢、恋人は俺だけにしろよ」
「うん、分かった」

 歩夢は可愛い笑顔でうなずいた。



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